年次計画

教材開発等の全体像

平成28年度計画(平成28年3月作成)

平成28年度は、研究倫理審査委員会の委員(一般委員・人文社会科学系委員)、事務局担当者/コンサルタント、研究者を対象とする研究倫理に関するモデル教材・プログラムのたたき台を作成します。

そのための基礎資料を得るために、既存教材・倫理指針を検討します。また、倫理審査および事務局業務に関する課題を把握することを目的として、医学部・歯学部の倫理審査委員会・事務局を対象として、実態調査(インタビュー調査、質問紙調査)を行います。

  1. 倫理審査委員会の委員・事務局関係者、研究者を対象とする、研究倫理に関するモデル教材・プログラムのたたき台の作成
  2. 倫理審査および事務局業務に関する課題を把握するための実態調査(医学部・歯学部の倫理審査委員会・事務局対象)
    ①インタビュー調査
    ②質問紙調査

なお、研究開発の到達点については、研究開発期間が実質上約2か月(2月、3月)と限られているため、客観的に示すことができる到達点としては、実態調査の実施とします。

平成29年度計画(平成29年3月作成)

平成29年度は、研究倫理審査委員会の委員、事務局担当者/コンサルタント、研究者を対象とする研究倫理に関する試行版のモデル教材・プログラムを作成します。また、教育実践の試行(対面での教育/Web上での教材の公開)を行います。

そのための基礎資料を得るために、倫理審査および事務局業務に関する課題を把握することを目的として、①臨床研修病院、②生命科学系学部(非医療系学部)、③公衆衛生大学院、④保健学系学部(看護学部等)等の倫理審査委員会・事務局を対象として、実態調査(インタビュー調査、質問紙調査)を行います。

研究開発の到達点としては、①実態調査(質問紙調査、インタビュー調査)の実施、②試行版のモデル教材・プログラムの開発、③教育実践(対面教育/Web上での教材公開)の試行とします。

(1)基礎調査:実態調査(質問紙調査、インタビュー調査)

倫理審査に関する課題等を把握するために、①臨床研修病院、②生命科学系学部(非医療系学部)、③公衆衛生大学院、④保健学系学部(看護学部等)等の倫理審査委員会・事務局を対象として、実態調査(質問紙調査、インタビュー調査)を行います。

なお、28年度には、パイロットスタディとしての意味も含めて、医学部・歯学部の倫理審査委員会・事務局を対象として、実態調査を行いました。29年度には、この結果を踏まえて、質問紙の内容を改良し、上記の調査を行います。

本基礎調査では、上記のように、医学部・歯学部のみではなく、臨床研修病院や医学系大学以外の大学も対象としてひろく実態調査を行いますが、その理由は、倫理審査委員会における法律家委員の現状(属性、審査への貢献度)および課題、倫理審査委員会で法律家委員に期待されている役割等を把握し、またそれらを諸要因別(例えば、大学の学部別、大学・病院別、所在地域別)に比較検討し、その結果を踏まえて、法律家委員向けのモデル教材・プログラムの内容や同模擬教育の内容・方法を検討すること等にあります。

(2)試行版のモデル教材・プログラムの開発(テキスト教材の作成/映像教材の作成)

試行版のモデル教材・プログラム(テキスト教材/映像教材)を作成します。

本研究開発では、モデル教材・プログラムの中で、法律家委員に特化したモジュールを提供する予定です。このため、法律家委員向けのモデル教材・プログラムについては、必要に応じて、法律家委員以外の委員向けのモデル教材・プログラムの内容に、法律家委員向けの内容を上乗せして、教材等を開発する予定です。

なお、研究開発の範囲・内容については、本事業の他研究グループと連携しながら調整するため変更の可能性があります。

(3)教育実践の試行:対面での教育/Web上での教材の公開

試行版モデル教材・プログラムにより、教育実践(対面での教育/Web上での教材の公開)を試行します。また、問題点を把握し、改良します。試行の際には、法律家委員に特化した教育も行う予定です。

対面教育は、北海道、関東、関西、九州の四地域で実施する予定です。Web上での公開は、本ホームページ上とAMEDのWeb上で行う予定です。

なお、研究開発の範囲・内容については、本事業の他研究グループと連携しながら調整するため変更の可能性があります。

平成30年度計画(平成30年3月作成)

平成30年度は、実態調査(28年度・29年度)で得られた知見と、教育実践の試行(29年度・30年度)で得られた参加者からのフィードバック等を踏まえて、試行版教材に対するブラッシュアップ作業を繰り返し、モデル教材・プログラムを完成させます。また、上記の実態調査のうち質問紙調査の結果を集計し、調査協力者対象のフィードバック資料と、モデル教材に添付する補助教材を作成します。加えて、医学研究に対する社会の理解を得るための広報資料を作成します。

研究開発の到達点としては、①モデル教材・プログラムの開発(完成版の作成)、②質問紙調査の協力者を対象とするフィードバック資料の作成/補助教材の作成、③臨床研究に関する広報資料の作成とします。

(1) モデル教材・プログラムの開発

前年度には、①全国の倫理審査委員会関係者・研究者等を対象とした模擬解説(慶應義塾大学、早稲田大学で合計6回)を行うとともに、②弁護士を対象とした模擬解説(神奈川県弁護士会館、大阪府弁護士会館)、③倫理委員会を対象とした模擬解説(東京大学、北海道大学)を行い、参加者より、試行版教材を改良するためのフィードバックを得ました。

①では、各回の終了後に協力者を募りフォーカスグループインタビューを行い、試行版教材の改良のためのフィードバックを得ました。また、実態調査(質問紙調査・インタビュー調査)を行い、研究倫理審査に関する課題等を把握しました。

上記で得られた資料を踏まえて、改良版教材を作成し、それらを用いて模擬解説(対面教育/Web上での教材公開)とフィードバックの取得を行います。その後、必要に応じて再度教材を改良し、最終版のモデル教材・プログラムを開発します。

(2)質問紙調査協力者へのフィードバック資料集の作成/補助教材の作成

研究倫理審査に関する課題(例:法律家委員を対象とした研修教材・プログラムの内容を検討するための、法律家委員へ期待する役割、教育・研修の実態、課題等)を量的に把握するために、平成28年度・平成29年度に、全国の医学部・歯学部等の倫理委員会を対象として質問紙調査を行いました。これらの調査結果を集計し、調査協力者へのフィードバック資料集を作成します。また、教育用の補助教材を作成します。

(3)臨床研究に関する広報資料の作成

研究倫理の要点(インフォームド・コンセントの取得、個人情報保護、倫理委員会による承認など)等について示した、医学研究に対する社会の理解を得るための広報資料(ポスター、リーフレット)を作成します。